sunaowamuteki’s blog

フザケたり真面目に幸福を追求したりロマンを大切にしたりしながら生きてる日常。


集金の帰りのスーパーで思ったこと

最近どういう心境の変化かわからないけど、スーパーとかで他の夫婦が目に付くというか意識して見てしまい、その会話の内容に自然と耳がいってしまう。たんに聞き耳を立てているとも言う??



若い夫婦で赤ちゃんをお父さんが抱っこしている。

普段赤ちゃんと一緒に行動しているお母さんは様々なコトに多く妥協を強いられてるから、手が離れているこの時にここぞとばかりに「完璧に合理的な買い物」を心ゆくまでしようとして陳列棚を見る目の色が変わってる。おしゃれしていても台無し。でも仕方ない。すべては家族の生活のため。自然とそうなってしまうのだと思う。



中年間近の夫婦は、お寿司のコーナーにいる。飾り気の無い夫婦。
お父さんが「握り寿司」のパックと「巻き寿司」のパックを交互に見ている。
お母さんの手は、小学生になったかならないかぐらいの男の子の手をひいている。
お母さんは「エエよ。そっちにしいな」と握り寿司のパックをすすめる。でもお父さんは「これでエエよ」と巻き寿司のパックを手に取る。
「エエのん?ホンマに」というお母さんの背中がなんとなしにホッとしてるのが見てとれる。

その時に、私の中で色んな種類の感情がいっぺんに押し寄せてきた。

その感情のおおもとはこう。
他人の夫婦の間に割り込めると思っている若い女性の思い上がりについて。
それは、かつての若い頃の自分。

26歳の時に、19歳年上の上司を好きになった。
ホワイトボードに何か書いて喋ってる姿を見て「この人と寝たい」と思った。
なんで自分がその瞬間にそんなふうに思ったのか確かめたくて仕方なくなった。

上司は実年齢よりだいぶ若く見えたし「もしかしたら独身かも。そうならいいのに」と思ったけど、既婚者だという事は当然すぐにわかった。

考え得るありとあらゆる手を使い、振り向かせようとした。

会社の帰りや休日出勤と称して隠れてデートはしたけど、デートしただけで何もなかった。私自身、当初感じた思いとは別に「奥さんのいる人とどうにかなる」勇気はどうしても持てなかった。でも相手の気持ちを自分に向けさせたくて、それだけはもうどうしようもなかった。

何度もデートをして、ある時、上司は初めて私の手を握って「僕があなたのものになる事は絶対にない」というふうな感じの事を言った。なぜ唐突にその様にされたのかわからず戸惑ったのだけど、その時に私が何て答えたのかは覚えていない。

 

ともかく、新聞の集金帰りのアラフィフ主婦の私がスーパーで手に買い物カゴを下げて考えたのは「あの時、関係を持たなくて本当に良かった」ということ。

もし一度でもそういう事をしていたら、自分の夫に対して「浮気を疑う妻」になっていただろうと思うから。結局は自分がした事で自分が苦しむのだ。
その頃の自分が、最後の最後にオーソドックスなモラリストであって本当に良かった。

自分が結婚した今、夫に対してクリアな気持ちでいられるから。

 

私がかつて「何とかして手に入れたい」と思っていたのは、あの巻き寿司のパックを手に取ったお父さんだったかも知れない。

 

なんだか涙ぐんでしまう。でも、この感情にはあまりにも色んなものが混ざり過ぎているから、うまく言葉にできない。